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展示前点検レポート(ミニクーパー クラブマン)

エンジン下回り④.jpg

オークションの闇

中古車販売店系YouTubeでよくありそうなタイトルです。私が経験した中で今のところ最凶。エンジンルームを下から覗いてます。赤丸の白っぽい垂れ跡をご確認ください。漏れた冷却水を洗浄してから出品したのでしょう。実際に減った分の冷却水を補充してエンジンを掛けておくと、ここから冷却水が垂れてきました。他県オークションの会場から運ばれてきましたが出品票記載の走行距離から1㎞も変化ありません。おそらく陸送会社に自走を禁止したと思われます。名前は伏せますが出品者は関西方面に複数の店舗を持つ輸入車専門の中古車店です。ホームページを見るとトヨタの子会社だとやたら自慢しているので調べてみたら豊田通商の子会社でした。ははははははははは。まあそれだけなら良くある事ですが(本当は無い方が良いのですが)セルの回り方に違和感があり、コンプレッションゲージで測定すると4番シリンダーだけ圧縮が無い状態でした。

シリンダーヘッド修正前③.jpg

そうゆう訳でシリンダーヘッドを下ろしました①

仕方が無いので原因を探ります。シリンダーヘッドを下ろしてみると4番インテークのバルブシートが脱落してました。バルブが欠けるのは第二世代ミニあるあるとは聞いてましたが、シート脱落は初めて見ました。冷却水が漏れたサーモスタットハウジングは4番シリンダーの真横ですから関連があったかもしれません。(異常な高温とか?)それにしても怖かったのは、こういった状況をオークション関係各所に相談すると「またオークションに流したら?」という答えが圧倒的に多かった事です。それじゃいつまでたっても負の連鎖が終わらないでしょうよ。

シリンダーヘッド修正前⑦.jpg

そうゆう訳でシリンダーヘッドを下ろしました②

シリンダーヘッドは新品だと60万円くらい、中古だとエンジン丸ごとで15~30万円くらいでした。残ったシリンダーブロックどうすんだっつーの。そこで福島県T市にある内燃機関修理屋さんに直してもらいました。3万円ちょっとで直りました。画像のように私なりに一生懸命出来るだけキレイにして出しました。整備士のプライドです。しかし戻ってきたシリンダーヘッドは面研されて新品同様になってました。負けたぜ。やっぱプロは違うな。

そうゆう訳でシリンダーヘッドを下ろしました③

そうゆう訳でシリンダーヘッドを下ろしました③

しかし私も感心ばかりしていられません。ヘッドが戻るまでの間、ブロックをキレイにしました。いかがでしょうか?おそらく今これ以上に燃焼室がキレイなクラブマンの中古車はなかなか無いでしょう。

パーツ洗浄①.jpg

そうゆう訳でシリンダーヘッドを下ろしました④

外した部品は一つ一つ丁寧に磨きました。私も工場長なんて柄にもなくやってた時期がありましたので沢山の整備士の仕事を見てきました。こういうのは本当に性格が出ます。こういったパーツをキレイに洗浄したからといって馬力が上がったりする事もありません。壊れず動いてくれれば多少汚れていようがいまいが関係ない事なんです。でも何となく折角だからという気持ちで磨いています。気にしない整備士は全く気にしませんけど。たぶん自分の仕事に付加価値が欲しいのだと思います。「オレの仕事は他の奴とは一味違うぜ~」的な。目に見えない工夫とか拘りとか。展示車を磨いている時も同じです。「ウチの中古車は他店とひと味違うぜ~」的な。くだらないと言えばそれまでですが、どうせやるならトコトンまで。

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